結婚できるの?
陽太は苦笑いしながら、千香の皿に視線を向ける。

もうすぐ完食の陽太と違って、千香の皿には片端が少し切られただけのステーキが残っていた。


「わかってる。ちゃんと全部食べるわ」


そんな言葉とは裏腹に食欲は失せていく。

どうして陽太は、結婚の話題を避けたのだろう。

千香は無理してステーキを口に入れながら、心は悶々としていた。

陽太の本心が分からない。

まさか気が変わって、結婚を躊躇し始めたのか。
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