結婚できるの?
亜里沙の質問に対して、陽太はポツリポツリと自分のことを語った。

高校時代からバンドでベースを弾いていたこと。

一時期はプロを目指して、精力的にライブ活動もしていたこと。

20才のとき、メジャーデビュー寸前までいったけれど、結局はレコード会社などの大人の事情でダメになったこと。

そのときのバンドメンバーは夢を諦めたけれど、陽太自身は今でもどこか諦め切れないこと。

今は別の仲間と新しいバンドを組み、細々とライブ活動を続けていること。


「ライブハウスでベースを弾いてるときが最高っていうか……一番、生きてる実感が沸くんだ」


陽太は鼻に皺を寄せて笑いながら、照れ臭そうに言った。
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