結婚できるの?
自分自身の夢と挫折が、陽太のそれと重なって……

陽太が亜里沙の悩みに共感したと同じく、亜里沙も陽太の気持ちがよく分かったのだ。

話していた居酒屋で、人目もはばからず泣いてしまうほど。


「泣かないで……。俺まで泣きたくなるから」


陽太は優しく言ったけれど、亜里沙の涙は止まらなかった。

涙腺が壊れてしまったように、自分の意志ではどうにもならなくて。


「……俺の部屋で話す?」


泣きやまない亜里沙を見つめて、陽太は訊ねた。
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