結婚できるの?
二人は居酒屋を出てタクシーに乗り、陽太の部屋へ向かった。

一人暮らしの質素なアパートだ。

築20年も経っているので外観は古く、室内も狭い。

それでも部屋の中は物が少ないせいか、小奇麗に整頓されていた。

陽太が亜里沙を部屋に誘ったのは、衝動的な気持ちからだった。

周りに人がいる居酒屋で泣きやまなかった亜里沙。

それに対して恥ずかしさや困惑もあったけれど、陽太の中では感激の方が大きかった。

自分の悩みや生き方を理解して、こんなに泣いてくれる亜里沙を愛しく感じたのだ。
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