結婚できるの?
千香は涙が出そうになり、鼻をすすった。


「千香さんの気持ち、分かりますよ。僕と亜里沙は2年の付き合いだけど、その3倍だもんね」

「…………」


亜里沙の名前が出て、千香の顔が反射的に歪んだ。

智和はそれに気づかず話し続ける。


「2年だって僕にとっては大きくて。プロポーズを保留にされても、諦められないからね」

「断ったんじゃなくて、保留なんですか?」

「僕はそう捉えてる。『もう少し待って欲しい』と言われたので、断られたわけじゃないから。時期が来れば、結婚できると信じてるんだ」


千香は我慢できず、感情が声に出てしまう。


「ずるい……!」
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