結婚できるの?
「すみません、ごちそうさまでした」


千香はおずおずと財布をバッグに仕舞い、頭を下げる。


「近くまで送ってくよ」

「それはダメです! もし亜里沙に見つかったら困るので」

「家の前じゃなければ平気でしょ? 僕が降りなければ見られることもないし」

「でも一人で帰れます」

「千香さん、結構酔ってるから心配だよ。僕に任せて」


智和はそう言うと、走って来たタクシーに向かって手を上げる。
< 194 / 744 >

この作品をシェア

pagetop