結婚できるの?
智和の心配そうな声を聞いたら、亜里沙は申し訳なさで胸が苦しくなった。

携帯を耳に当てながら、話しやすい場所を探して歩く。

いま歩いている道は、車が通ると智和の声が聞き取りにくかった。

駐車場の敷地を見つけ、静かな奥の方へと進む。


「亜里沙、聞こえてる?」

「うん。体調はもう大丈夫だから。心配してくれて、ありがとう」

「なら良かった……」


そう言ったあと、智和の言葉が続かない。
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