結婚できるの?
亜里沙も自分からは何も言えず、かといって電話を切ることもできず、少しの間沈黙が流れた。


「気をつけて帰るんだよ」

「うん」


どこからかフラフラと現れた猫が、甘えを含んだ声で鳴く。


「それから、僕は亜里沙に会いたいと思ってるから」

「…………」

「亜里沙と会える日を待ってるよ」

「……ごめんなさい」


亜里沙の口から思わず謝罪の言葉が出た。
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