結婚できるの?
二人は一緒にエレベーターに乗り、エントランスへ向かった。

タクシーはまだ来ていない。


「気をつけて帰るんだよ。……それと、今までありがとう」


智和は最後まで紳士的だった。


「私の方こそ……今まで本当にありがとう」


涙が出そうになった亜里沙は必死で堪えた。

自分はここで泣く資格なんかない。

智和に酷い仕打ちをしたのは、紛れもなく自分なのだ。
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