結婚できるの?
智和を待っている間、千香はぼんやりと過ごしていた。

自分の過去に思いを馳せたり、携帯電話に登録してある友人の名を眺めたりして。

今でも活き活きと過ごしているであろう友人たちの名前を見ていたら、どうしようもなく哀しい気持ちになった。

今の仕事は生活のために選んだものであって、やりたいこととは違う。

しかも、ただ何となく選んだ会社。

自分はこの数年間、結婚だけを夢見ていた気がした。

陽太に愛されている自信だけが心の拠り所で……

どうすれば陽太と理想の家庭を築けるのか、そのことだけに関心があった。
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