結婚できるの?
「……ごめん。千香には千香の苦しみがあるもんね」


千香は無言でコーヒーを啜ることしかできず、亜里沙が会話を締め括る。


「話を戻すけど、新しい部屋が決まったら教えてね。引越の日を決めたいから」

「うん」

「じゃあ、そういうことで。おやすみなさい」

「おやすみ」


二人は静かな挨拶を交わし、亜里沙はコーヒーカップを持って自室に入った。

一人キッチンに残った千香は、その場でぼんやりと考え込む。

これで亜里沙とは、完全に決別なんだ……。
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