結婚できるの?
千香の言葉で振り返った陽太は、困ったような苦笑いを浮かべている。


「ビックリしたよ。来るなら連絡くれればいいのに」

「だって亜里沙と話してたら、急に行こうって流れになって。連絡するタイミングがなかったの」

「わざわざ、こんな所に来なくてもいいのに」


陽太は完全に逃げ腰だった。

千香がここに来るのは久しぶりだし、ましてや亜里沙と一緒に来るなんて稀だから、嫌な予感がしたのだ。


「自分の職場を『こんな所』なんて言わない方がいいんじゃない? 陽太が頑張ってる場所なんだから」


千香に指摘され、陽太は肩をすくめる。

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