結婚できるの?
◆ ◆ ◆

つまんない、か……。

千香と別れて一人になった智和は、心の中でその言葉を反芻した。

乗り込んだ電車でつり革を握り、車窓から流れ行く景色を見ると、やんだと思った雪が再び舞っていた。

雪を見ても感動しなくなったのは、いつからだろう。

小学生の頃は、雪が降ると大はしゃぎした。

友達と雪合戦をしたり、幼なじみの女の子と雪だるまを作ったり。

雪なんて滅多に降らなかったから、降った日は気分も高揚したし、ここぞとばかりに雪と戯れた。

ああいう無邪気な気持ちや情熱は、いつから消えていったのだろう……。
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