結婚できるの?
そこまで考えて、亜里沙の顔が脳裏に浮かんだ。

亜里沙にアプローチしたときの自分を思い出し、内心で苦笑する。

あのときは、自分でも驚くほど情熱的だった。

勇気を出して食事に誘い、迷わず告白もして……。

まっすぐな少年みたいに夢中だった。

もし亜里沙と雪を見ていたら、自分は子供の頃のようにはしゃいだのだろうか。

同じ雪を見ても、気分は違っていたのだろうか。


電車がガタンと大きく揺れ、そこで智和の思考は中断された。
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