結婚できるの?
それらしきバイトの子はいなかった。

フロアを行き来するスタッフは、陽太と女性が二人。

二人のうち一人は主婦っぽいオバサンだし、もう一人は若いけれど地味で垢抜けない子。

千香から見て、お世辞でもカワイイとは言えない。


「今日はいないんじゃない? 亜里沙、注文を決めよう」


千香は目当ての子を見るのは諦めて、亜里沙にメニューを差し出した。

と、そのとき……。

亜里沙が身を乗り出し、千香に顔を寄せてささやく。


「ねぇ、あの子じゃない? 今、厨房から出て来たわ」
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