結婚できるの?
二人の言葉数は減り、沈黙が流れ出す。

亜里沙も陽太も、これ以上何を言えばいいのか分からず、静かに飲み物を啜っていた。


「もしもさ、亜里沙に困ったことがあれば、いつでも聞くから。俺で良ければ、何でも相談して」

「うん。ありがとう」

「なーんて、亜里沙は俺に相談する必要もなく、いい人が見つかりそうだけど」

「そんなことないよ。今は仕事に燃えてるだけ」


亜里沙には、それが精一杯の言葉だった。

今でも陽太が好き、とか……。

そういう類の言葉は言えなかった。
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