結婚できるの?
亜里沙は毅の夢や目標を知らなかった。

いつも毅には自分の話を聞いてもらうばかりだったから。

亜里沙に質問された毅は、照れた顔であごの辺りを擦る。


「改まって訊かれると困っちゃうね。亜里沙ちゃんみたいに、明確な目標があるのは偉いと思うよ」

「でも先輩は仕事熱心ですよね。会員さんからも慕われてるし」

「水泳は今でも好きだからね。かといって、自分が大会を目指せるほどじゃないし。社内の出世も望んでないし、改まって目標を訊かれると答えられないや」

「だったら、何か目標が決まったときにお祝いさせてください」

「亜里沙ちゃん、マジ? そんなこと言われたら、超嬉しいよ!」
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