結婚できるの?
毅の顔が浮かんだものの、すぐに心は否定する。

社内の裏事情だから、毅には話せないと思った。

美佐の許可も取らず、社内の人間に話すわけにはいかない。

美佐とは今日までまともに話したこともなかったが、にもかかわらず短時間で事実を告白してくれた美佐に対し、亜里沙は好感を持った。

憎いライバルなのに憎み切れない。

許せないと思う反面、嫌いになれない。

美佐に対する亜里沙の感情は屈折していた。

ふと、千香の顔が脳裏に浮かんだ。
< 627 / 744 >

この作品をシェア

pagetop