結婚できるの?
「でも、私は陽太さんを映画に誘うつもりなんです」

「それはあくまで奈緒ちゃんの希望でしょ?」

「それは、そうですけど……」

「もう誘ったの?」

「まだです」

「だったら止めた方がいいと思う。奈緒ちゃんも千香の存在を知ったわけだし、陽太だって断るんじゃない?」


ハッキリ忠告する亜里沙に、千香は感謝していた。

陽太は奈緒子を口説いたり誘ったりしていない。

だから大袈裟に心配する必要はない気もしてきた。

「彼女はいない」と言ったのだって、口が滑っただけで深い意味などないのかもしれない。
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