結婚できるの?
「でもさ、亜里沙には智和さんがいるじゃん」


陽太は無理して明るい声で出す。

その場の雰囲気を取り繕うみたいに。


「私、智和さんのプロポーズを断ったの」

「えっ?」

「さっき断ってきたの」


実際は断ったのではなく引き延ばしただけだが、亜里沙は自分に都合の良い言葉を選んだ。

陽太は大きな溜息をつく。


「どうして断ったりしたの?」

「そんなの、陽太が好きだからに決まってるじゃない……。どうして、そんなこと聞くの? 陽太は私が智和さんと結婚した方がいいの?」 
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