結婚できるの?
亜里沙の声は悲痛なものになっていた。

皮肉なことに、こんな状況になると、やっぱり陽太を好きなのだと痛感する。

今もし陽太がプロポーズしてくれたら、ためらうことなく承諾するだろう。


「……亜里沙。ごめん」


謝られた亜里沙は息を呑み、ショックで言葉が出なくなる。

打ちのめされている亜里沙に向かって、陽太は苦しそうに自分の気持ちを話す。


「亜里沙のこと、好きだったよ。でもずっとこのまま続けるわけにもいかないし……。智和さんにプロポーズされたなら、ちょうど良い機会のような気もするんだ」

「……陽太、何言ってるの? 嘘でしょ……」
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