史上最悪!?な常務と

「そうなんですか…」


「ええ、せっかく生まれてきて、
でも…」


親に先立たれるのもとても哀しいのに。

まして子どもに先立たてるなんて…。

取り残された親の思いは…。


うつむきハンカチで目頭を押さえる彼女を見つめながら思った。


なんか、
涙がこぼれそうになる。


そして彼女はひとつ息をついて顔を上げた。


「そんなときにね、島津さんに出会ったの。
そして施設に連れて行ってもらって不幸を汲み取る壺を…」


「壺?」


「おかしいでしょ?
でもね切羽詰まるともう…、
なんでもいいから、
…すがりたいって思いだったの」


そして彼女は再びハンカチで目頭を押さえた。


< 212 / 493 >

この作品をシェア

pagetop