史上最悪!?な常務と
Presentation 5
・ 過去について
「また、連れだしたんですか。
お父さん…」
振り向くと父親の低い声。
表情が見えない、
そう感じたときは大抵、
機嫌が悪かった。
父親のそんな態度の理解は気づけば子どものころから身についていた。
「すみません…」
慌てて母親が謝る。
「謝ることはないよ、
私がカナタをを庭に誘いだしたんだから」
穏やかな声の祖父。
「連れ戻してどうするつもりだ?
また経済の勉強でもさせるつもりか?」
そう、それはいつものこと。
幼い頃から経済や経営の勉強をさせようとした父親と
いつも遊んでくれた祖父。
実の親子だというのに考え方の違いからか
仲がいいとは思えなかった。
いや、父親がいつも機嫌が悪かっただけだ。