史上最悪!?な常務と
「そうか?
嫌がってるような…、
そんな風に見えるか?」
「いえ…、申し訳ありませんでした」
塩屋は長く祖父の元で仕事をしていたから、
人の気持ちなどお見通しなのだろう。
たぶん、俺の返事に彼は納得はしてないだろう。
「失礼しました。
お疲れが出ないよう、
仕事を切り上げてお帰り下さい」
「ああ、そうする」
俺の返事に静かに笑みでうなずき、
彼は背を向けて部屋から出て行った。
そんな彼の後ろ姿を見つめながら、
そう、塩屋もまた、祖父の死をこころから悲しんだ人間だ。
きっと俺と同様、
父親のやり方にはついていけないと思っているはずだ。
でも立場上、彼は何も言わない、
言えないのだろう。
ぼんやりそう思った。