史上最悪!?な常務と
きっと今の状態にある俺のことを
ただのワガママとして彼はいつまでも自由にできると思ってるんだろうな。
それでも彼はいつも祖父の近くにいた俺を多少なりとも恐れていることは知っている。
表向きは自分の意見を殺し、
父親の言いなりで仕事をきちんとこなすとしても。
だからクセのある秘書を置き、
そしてあえて常務という位置にしたのだろう。
クセのある秘書、か。
「ふっ…」
妙におかしかった。
「…桃山アヤ」
父親から見れば彼女もまたクセのある秘書と判断したんだろうな。
俺もはじめは…
まあ、そう思ってたけれど。
なにをやっても上手くいかず、
でもそれでもいつも必死で仕事をこなす。
秘書のくせに感情がくるくると動く。
笑って、泣いて、怒って。
自分が忘れかけていた感情。
そんな彼女にいつの間にか。