史上最悪!?な常務と

「お母様とお約束があるんでしたよね?
時間に間に合うといいのですが」


そう言いながら彼女から解放される嬉しさからアクセルを踏む足に力が入る。

彼女がこのあと母親と待ち合わせしているからと、
待ち合わせのホテルのロビーまで送ればこの重苦しさから解放される。


どす黒いなにか。


上品で何においても優れていて申し分のない女性のはずなのに。

それは桃山アヤと一緒にいて決して思うことのない感情。


ただ、申し分ない女性というのは自分にとってではなく、
会社にとってということ。


このまま彼女と結婚することになったらきっと俺は父親と同じになってしまう。


そう思った瞬間、
どす黒い感情はますます大きく渦を巻く。
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