史上最悪!?な常務と
アタシのムッとした顔を見て彼はクスクスと笑う。
この人、
アタシのことからかって楽しんでる。
「さ、もう行こうか」
そう言って常務は立ち上がり、
服についた草をパンと払う。
そしてアタシの腕を掴んで立ち上がらせる。
「わっ」
「草、ついてる」
彼はそう言ってアタシの頬についた草をそっと取った。
「ありがとう…ございます」
そしてくるりとアタシに背を向けて片手を挙げた。
なにか、言わなくちゃ、
咄嗟にそう思ったけれど。
でも何を?
えーと、えーっと。
「あ…あのっ!
どうやって帰るんですか?」
あ…、なに言ってんだ?
アタシ。
アタシの声に気づいた常務は少し離れたところで立ち止まり、
「ああ、車はないから、
久しぶりに電車にでも乗って帰る」
そう答え、
再び歩き出す。