史上最悪!?な常務と
どうしよう、
どうしよう。
常務とアタシの距離がだんだんと開いていく。
出張なんだから。
今、想いを伝えないとチャンスはもうないかもしれない。
そう、
明日からしばらく顔を合わせないのなら言えるはず。
でも
散々嫌いだって…。
こないだなんか本人を目の前に嫌いだって言っちゃったし。
それに、
相手が常務という立場でアタシとは世界が違うってわかってる、
彼には決まった女性がいるってことがわかってる。
どういうつもりでアタシといるのか。
……もう、そんなこと、もうどうでもいい。
今、この一瞬、刹那的なものでもかまわない。
だから。
だったら。
それでも。
アタシは一歩、二歩とゆっくりと彼に近付く。
そして気づけば早足で彼に駆け寄って、
ドン、とぶつかるようにして背中に抱きついた。