史上最悪!?な常務と
「だっておもちゃみたいに扱ってるじゃないの。
端から見てていっつもそう思うわ」
「常務にはもっとオトナの女性が似合うんだから」
そう言って向島さんは長い髪をかき上げてふふん、
と笑う。
「オトナの…女性…?」
「そうです、
如月産業の社長令嬢とか」
アタシの耳元で囁くような声。
「わっ!島津さんっ!」
もう、いっつもそんな登場の仕方、止めてよ。
…言われなくてもそれくらい知ってるし。
胸の奥がズキンと痛んだ。
でも、
彼はアタシのこと、好きだって言ってくれた…。
だから。
「なに、ぼんやりしてんのよ」
「あ、いえ、なんでもないです」
「さっきまでの勢いはどうしたのよ?
もしかして…ふたりの婚約話にショック受けてるの?」
「まさか、桃山さん、常務におもちゃにされてるのに
勘違いしてる?」
「婚約話はだいぶすすんでいて、
先日もお仲人さんと3人で打ち合わせされていたそうです」
3人して次々とアタシが傷つくようなこと言う。