史上最悪!?な常務と
室長の姿を確認した途端に3人は
「おはようございます」
と挨拶しながらそそくさと自分の席に戻る。
「室長…、おはようございます…」
そして遅れてアタシも挨拶…。
「ああ、桃山さん、ちょっといいかな?」
室長はまっすぐアタシの席にやってきて声をかけてきた。
どうしたんだろう。
3人の変な視線を受けながら、
(アタシだってなんで呼ばれたのか、
わかってないんだから)
空いている常務の部屋へ入ってゆく室長の後を追いかける。
常務のいない部屋だけど、
いろんなところで彼の気配を感じる。
机の上の散らかったままの新聞とか、
難しい本がたくさん並んだ本棚とか。
……会いたいなあ。
……、
ああ、そうだった、
今は室長といるんだった。
「…あの…どうしたんでしょうか?」
「今日、常務を空港に送って行くときに言われたんだけど」
あ、今日、空港に彼を送ってったのは室長だったんだ。
まあ、アタシじゃ、無理ってうか不安だもんね。
なんせ運転初心者だし、
乗り遅れたらもうおしまいだもの。