史上最悪!?な常務と
「ねえ、アヤお姉ちゃんーっ?
ご飯まだあ?」
居間のほうからサキの声が聞こえた。
「ああ、ごめん、ごめん
もうできるから待っててー?」
とりあえず今はみんなの前では平静を装っておかなきゃ。
変な心配させちゃダメだ。
怖がってちゃダメなんだ。
アタシは急いで出来上がったロールキャベツを鍋から
大皿に移しお盆に乗せて居間へ運ぶ。
「ほら、ケン?
もうご飯だからそんな雑誌、読まないで?」
そう注意しながらテーブルにロールキャベツの入った大きなお皿をどん、
と置く。
「ああ、ごめん、ごめん」
彼は謝り、
雑誌を閉じて隣の空いている椅子の上に置いた。
「へー?
経済の雑誌なんか読んでるの?
難しいの読んだりするのね?」
アタシはケンがさっきまで見てた雑誌を手にとってぺらぺらとページをめくる。
「そりゃあ、もう就活だもん。
そういう勉強はしてなきゃダメだろ?」
「お兄ちゃんえらーい!」
サキがわかってるような口ぶりで笑って言う。