史上最悪!?な常務と

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「あの、急に呼び出してごめんなさいね」


窓から見える景色は夕闇の中、
たくさんの車が走る道路。


それから銀杏並木と広い通り。


忙しそうに歩くたくさんの人達。

なにかドラマのワンシーンでも切り取ったような光景だな。




そして、
アタシの前には運ばれてきたアールグレイ。

向かいにはオレンジペコー。

オレンジペコーの入ったカップを持つ女性の手は細くしなやかで。

それはアタシみたいに庶民的な手でなくて苦労を知らないキレイな手。


長い髪をキレイにまとめて少しの後れ毛から、
大人っぽい印象を与える。


確かにね、大人っぽいですよ。

アタシとはエライ違いだわ。


常務にはこんな女性が似合うってあの秘書室の連中は言いたいのか。


それくらいわかってる。

でも常務を想う気持ちは正直誰にも負けないんだぞ。


まあ、彼が本気で相手してくれてるのかどうかは…。



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