史上最悪!?な常務と
「彼はいつも仕事のことばかり考えていて、
難しい顔をしていることが多いんだけど。
その秘書の話をするときにだけ…、
いつの頃からか…、確実に違うの」
「違う…?」
「必ず嬉しそうに笑ってるの。
アタシには決して向けてくれない笑顔でね」
彼女はわかってないようでわかってる。
彼の少しの変化も逃さない。
彼女に隙を見せてはいけない、
なぜかそう思った。
アタシはカップを手に取り、
気持ちを落ち着かせようとお茶を飲もうと口に近付け…、
「あっっつっ!!」
いい加減冷めてたと思ってたお茶が思ったよりも熱く、
ゴクン、と飲もうとしたけれど口の中がヤケド状態。
「あわわわ…」
零れそうになるお茶の雫をなんとかそのままソーサーに戻す。
う、……隙を見せてはいけないとか、
やっぱりアタシには無理な技だった。
アタシは視線を下に向けて引きつったような笑いをする。
そんなアタシを見て如月さんはくすくすと笑う。
うわ、笑ってる、
カッコ悪…。