史上最悪!?な常務と
「アヤお姉ちゃん?
なに探してるの?」
気になったのか、
サキがついてきたようでキッチンのドアのところから声をかけてきた。
「うん…、
エプロンのポケットにね、
数字が書いてある紙を入れてたんだけど…」
エプロンをバサバサとしてみる。
「それなら…、
うーん、紙かどうかは知らないけどレナお姉ちゃんが
出て行く前にエプロン触ってたよ?」
「え?」
アタシはサキの言葉に顔をあげる。
「それで?
レナはどこに行くって?」
「だからー、
それは知らないってば」
レナはアタシが小切手を現金化しないかもしれないと思って、
持ちだしたのだろうか。
もうダンススクールへ行けなくなると思って…。
あんなに喜んでたから…。
アタシはダンススクールへ通うことが決まったことを
嬉しそうに話していたレナの笑顔を思い出し、
そのまま床に座り込んでしまった。
もうレナが帰ってくるのを待つしかない。
今は何もできない、
そう思ったら身体中の力が抜けていった。
「サキ…、
ご飯にしよっか…」