史上最悪!?な常務と

でも、正直…。

こころから気分が晴れるということはない。


気分が晴れると…。

それだけこころの片隅にある傷を隠したカサブタが明確に姿を現す。


そのカサブタが落ちてしまうと傷は
きっと身体中にまとわりつくような痛みになるだろう。


触れたくない、そのカサブタ。



「嵯峨野 カナタ」


自転車こいでる風の音で、

街中の雑踏の中で、

小さな声でその名前をつぶやいてみる。



音に紛れて聞こえなくて当然のはずなのに
いまだにはっきりと聞こえて自分に返ってくる。


< 478 / 493 >

この作品をシェア

pagetop