史上最悪!?な常務と

「来てはくれなかった…」


ひとつ、ひとつ、場面がよみがえる。

はっきりと、鮮やかに。


「あの、それは…違います、
彼女は…、」


自分にしか聞こえないくらいの小さな声で答えるのがやっと。


「今でも一番会いたいひとのはずなのに。
そう、彼女を信じていたら、
もっと素直になれたはずだった」


どうしよう、
傷が疼きだしカサブタが落ちてしまう。


「いつまでも彼女を待っている自分。
それは結局確かめることが怖かっただけだった」


アタシは彼の言葉に首を左右に振って
泣きそうになるのを堪えながら
ゆっくり言葉を選び伝える。


「彼女は…彼の元に行きたかったんです。
…彼女の…ずっと一番に、会いたいひとは、」


間違いない、このひとは…。


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