史上最悪!?な常務と
イカン、イカン。
今はこれでも仕事中なんだから。
余計なことは考えないっ!
…あ、そうだ。
ふと思い出し、顔をあげて
バックミラー越しに運転する彼を見ながら聞いてみる。
「嵯峨野常務は…、
アタシが運転初心者だって知ってるんですか?」
「知らない」
へ?
ちょ、即答?
じゃ、なに、アタシの何を見たの?
どうして秘書課に配属させたの?
バックミラーに映る彼は無愛想。
もしかして運転に関して初心者じゃないってのは
当然だって思ってた?
だから気にしなかったってこと?
いやー、そんなこと、ないでしょ。
なんて、
うじうじ考えている間に
やがて車は支社に到着した。