また、明日。


「とにかく、家まで送るよ」


そう言って、私の先を歩いて行く横山くん。

「ちょ、ちょっと待って!…あ!」


慌ててあとを追いかけながら、彼が今日誕生日であることを思い出す。


「横山くん、お誕生日おめでとう」


「え…、ああ、そういえば今日、誕生日だったけ」

「まさか、自分の誕生日忘れてたの?」


「そういうわけじゃないけど…、何か今日頭が混乱してて、それどころじゃなかった」

だから、私を抱き締めたりしちゃったの?

「ありがとう。覚えてくれてたんだ、穂香」


そう優しく微笑む笑顔を見て、何だか胸がいっぱいになる。


なに、これ。


やばい、やばいよ。



本日何度目であろう、胸の高鳴り。


< 30 / 58 >

この作品をシェア

pagetop