タイトル未定
タイトル未編集

例えばそんな噺。
少女の前に一人の不思議な少年が現れて、その人と恋をして、どちらかが死んで、悲劇かと思ったら生き返って、ハッピーエンド。
例えばこんな噺。
部活内で一人が何者かに体を乗っ取られて、元の人格に戻すため、部員たちは力を合わせて何者かを追い出して、ハッピーエンド。
そんな適当な、でもキラキラした、そんな噺が大好きです、安城ことり、15歳。
別に病気がちで外に出られなくて病院で妄想を膨らましてる少女……とか、そんな特別な設定ではなくて、ただの女子高生。
でも、憧れるものは憧れる。不思議な出逢いとか、不思議な恋とかね、そういうのに憧れる人って絶対ことりだけじゃないと思うの。

「アホことり、そんなこと考える暇があるなら勉強しろ」
友人Aこと、松島やよい。成績優秀美人キャラで、紹介するなら『運動はちょっぴり苦手な美人優等生!』って感じで。髪は黒髪、肩にかかるくらいの細目の髪を下ろしてて、制服の着方は第1ボタン開けの緩めネクタイで、スカートは普通にミニ丈。所謂クールキャラに有りがちな容姿ですな。

「でもでもことちゃんは成績、平均前後でしょ?」
まあ事実ですが言いましたのは友人Bこと、東雲みつは。こちらはゆるふわ担当。『皆大好きみつはちゃん!ゆるふわオーラの確り者!』って感じか。栗色のふわふわした髪を緩いローツインにしてる、可愛らしい子。この子はあろうことかやよいよりも成績上位者。

「安城、そんなことよりお菓子はまだか」
うるさいわ、この二重人格者め。こちらはモテモテ二重人格男子、にしてことりの幼馴染みの西島リョウタ。茶髪のインテリイケメンと言って皆さんが想像するイケメンでおおまか間違いはない。ただし眼鏡は伊達である。女子の前と私やよく知った間柄の人の前とでは人格が違いすぎて腹立つ。頭良い。

「そんな態度で今クラスの女の子来たらどうすんのさー、モテモテが台無しだぞ?」
けらけらと笑いながらリョウタに話しかけるのは普通男子、小金井マヒロ。この人はミスターフレンドリーと言われるほどのフレンドリー野郎で、なかなかそして楽しい男子。ただ、何を考えてるんだかわからない黒髪短髪の頭の中は実に興味深いのであった。」

「お前さっきから何一人で喋ってんの」
「ことちゃーん、お昼時間終わっちゃうよー」
「ことり、うるさい」
「ことりん、卵焼き自作?ねぇこれ自作?」
一斉のツッコミ。口にでてたか、ことりの他人紹介。
そしてお弁当に目をやると、

「卵焼き全部食べたの!?」

自作の卵焼きは全滅していました。
なんて普通すぎる日常であろうか。
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