秘密の季節~緋色☆season~

◇夏休み、海での偶然の出逢い












「我が力を糧に己の力と成せ」


そう言い終えると、
目の前に差し出された手のひらに軽く触れるくらいのキスをした。

その直後手のひらに何らかのマークが光を帯びながら浮かび上がり、
数秒経つとマークの消失と共に光も失われた。


「着替えも済んだし、
みんな今日の予定通りで!」


夏美さんのひと言で春夏秋冬の4つに分かれた。

あたしの名前は
桜庭陽春(さくらばはる)。

あたしたちは季節を管理する言わば神様の分身のような存在。
その中でも女神と呼ばれる存在で、
春を管理している春の女神。

女神は春夏秋冬の4人だけ。


あたしたち春組は今日は巡回日。 

あたしを入れて3人は外に出た。

 
「ここから一番近いコンビニの裏道辺りにいる。
あと前田さんの家の近くと通学路の途中の本屋さんのところと…この敷地の裏にいる。
2人は敷地の裏にいるのまず倒して。
あたしは残りの箇所の的確な位置確認しに行くから。
前田さん家の近くまず確認するから」


そう言うと2人は目を閉じて開いたかと思うと片方の瞳にそれぞれ違うマークが浮かび上がっていた。


「向こうが襲ってきても1人で戦うなよ」


「普通のゾンビじゃなかったらね。
確認もせずに戦うような真似、
睦月じゃあるまししない」


「しねーよ!」


「この前1人で勝手に戦ってたのによく言えるね。
相手が基本タイプのゾンビだったからよかったものの」


「も、もうしねーよ」


少し偉そうなこの男の子は
早緑靖(さみどりやす)。

1月の守護者と言える。

四族は12か月に相当し12人存在する。

その中でも1月を担当することから仕事時には睦月と呼ばれる。


「倒したら報告してね。
的確な場所言うから」


「何かあったら春もすぐ呼べよ?」


そう言うとあたしの顎に手をかけてくいっと弥生の方に向かせた。


聖星佳月(せいぼしかげつ)。

3月の守護者弥生。

イケメンタイプで、
あたしは苦手なタイプ。


「弥生、手のけて。
じゃ、行動開始!」


弥生は残念そうに離れた。

睦月が土で作った馬に2人は乗り夜の道を駆けて行った。


あたしは屋根をつたって前田さんの家を目指した。


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