秘密の季節~緋色☆season~
コンビニの裏道に降り立つと、
1体のゾンビが座り込んでいた。
感知能力を使い、
調べてみるとどうやら普通のゾンビ。
今度こそあたしが浄化してあげる。
両手を合わせて顔の前で握りしめた。
「霊界の扉、
春の女神の名の下に今開きたまえ」
後ろから強い風が吹き荒れ、
扉が出現した。
扉が開くとゾンビは苦しみ始め、
胸の辺りから白い玉のようなものが飛び出し扉の中へと吸い込まれていった。
それと同時にゾンビを形成していた土は崩れ、
ただの土が少し山なりにその場に残った。
白い玉、魂は扉の中に吸い込まれると扉はすぐさま閉じた。
強い風が吹きやむと共に扉も消えた。
「浄化と共に、神の御加護を」
女神には必要のない言葉をぽつりと呟いた。
土の紛い物、
ゾンビのために魂を奪われた人間を思って。
『前田さん家終わったぞ!
今そっち向かってるけど』
「こっちならさっき終わった。
お互い本屋で」
『あ、何1人で戦ってんだよ!』
「あたしはゾンビの種類見分けつくからいいの!」
『それにしてもだな』ブチっ。
面倒くさくなり、無線を切った。