秘密の季節~緋色☆season~
「巡回お疲れ様!」
能力トレーニングルームに行くと、
夏美さんが言いながらこちらに近づいてきた。
日向夏美(ひゅうがなつみ)さん。
夏の女神に当たる人で、
このマンションに住んでいる女神の中では一番の古株。
あたしも最初はいろいろ教えてもらった。
「夏美さん、どうですか?」
「うん、まだ1週間しかトレーニングしてないなんて嘘みたいな成長ぶりだわ!
ちょっとえらそうなところもあるけど神無月はもう巡回も普通に出れるくらいの成長よ」
この前捜して見つかったばかりの神無月の成長は、
目を見張るものがある。
無雷正陰(むらいしょういん)。
10月の守護者、神無月。
俺様神父で、つかみどころがない人。
女神と四族の中では一番の最年長さん。
ひと目見た時から何かただならぬものを感じてたけど、
ここまでとは誰も思っていなかった。
この部屋では冬組が特訓してるから神無月の他に冬の女神と霜月と師走がいる。
みんな特訓に一生懸命でこっちには気づいてないけど。
「夏美さん、あたし代わりに夏組見てきますね」
ありがとう、と言ってまた指導に戻って行った。
あたしは飲み物を用意して、
筋力トレーニングルームに顔を出した。