秘密の季節~緋色☆season~
「水無月は何であたしにだけあんなにツンケンなのよ!」
エレベータで2階の自分の部屋に戻り、
着替えを用意しながら呟いた。
「理由は分かるけど、
別に睦月とはそんなんじゃないのに。
理不尽」
「まーそうだな」
「って弥生!
勝手に入ってこないでよ!
今度入って来たら壁に釘打ち付けるから!」
あたしが怒鳴るのを気にもせず反転する壁から顔だけ出していたのを身体を起こして足を踏み入れた。
「最初の頃は優しかったのに最近口調といい俺に対してひどくない?
あーあ、最初はやさしかったのになぁ」
「弥生の態度が悪いことを自覚してないことが原因だと思う」
「冷てぇな~」
弥生のようなタイプは苦手なのに、
事あるごとに突っかかってくるから正直苦手から嫌いに近いものへとなっていることにどうやら気づいていないらしい。
「好きなのにな~」
…え?
一瞬驚いたが、
どうせ言い方からして冗談だと思い受け流した。
「嘘つく人は嫌い」
そう言ったあとも本気なのにな~、
と言う弥生に余計に腹が立った。
「あたし今からお風呂入るからもう出てって」
「ちょうどいいじゃん!
一緒に入ろうぜ」
「ふざけないでよ!睦月~」
睦月を呼んだ瞬間、
あたしの違う部屋と繋がっている睦月との部屋から壁が反転する音が聞こえてきて、数秒したらあたしたちのいる部屋のドアが開いて睦月が現れた。
「弥生。帰れ」
睦月は本当に頼りになる。
能力使ってる時は俺様みたいに性格変わっちゃうから正直W弥生みたいでしんどいけど、
素面の時は真逆で無口で静か。
いつも部屋に侵入してくる弥生の対処をいつもしてくれて助かっている。
本当に壁に釘を打ちつけたいところだけど、
そもそもこの壁は緊急時にすぐに行けるようにしている壁。
そんなことできるはずもない。
風呂から出て、疲れ切ったあたしはすぐ眠りに就いた。