ふたつの背中を抱きしめた
落ちて行く柊くんを
全て否定され続けた哀しい子を
私は最後の最後で
振りほどけなかった。
「…っ、柊くんは、間違ってない!!柊くんは、間違ってる人間なんかじゃない!絶対に!!」
なにも、
なにも知らない子が
なにも持っていない子が
初めて、愛を知ったの。
ねえ。
どうしてそれを、振りほどける?
「…間違って…ないから……」
私は、強く、強く、
柊くんの頭を、胸に抱きしめていた。
「…真陽……」
柊くんの手が、私の背中に伸びて抱きしめ返す。
「…真陽…好きだよ…」
柊くんが、笑った。
私の罪と、引き換えに。