ふたつの背中を抱きしめた
もし、心も血を流すとしたら
私の手は真っ赤に染まってる事だろう。
綜司さんと柊くんの返り血で。
裏切る。傷つける。堕ちる。
なのに私は、笑ってる。
傷みに気付いてない綜司さんに笑いかけ
傷みの意味を知らない柊くんに微笑み返す。
残酷で卑怯でズルい女。
本当に2人を愛してるならどちらかの手を振り切るべきなのに。
泣かせたくない、と言うのはあまりに詭弁だろうか。
私を失いたくないと言った綜司さんの
私を好きになったのは間違いなのかと聞いた柊くんの
あの哀しみに彩られた瞳をもう見たくない、と言うのは。
このまま曖昧に
嘘と誤魔化しで塗り重ねた日々の中でたゆたいながら
私はきっと笑い続ける。
嘘を重ね、罪を重ね
2人の笑顔を守り続ける。
それがどんなに残酷な事か知りながら。
---私は、卑怯な女です。