ふたつの背中を抱きしめた



子供達の寝室でマルちゃんとケイくんに挟まれながら2人に何冊かの児童書を読み聞かせた。

しばらくすると、マルちゃんが私の腕にしがみつきながら舟を漕ぎだす。

少し遅れてケイくんも欠伸をしたので、寝付くまでポン、ポン、と胸を叩いてあげた。

2人の寝息が規則的になるのを聞き届けて、私は枕元の電気を消し自分も仰向けになって目を閉じた。


柊くん、起こしに来るかな。写メられたらイヤだな。柊くんなら本当にやりかねない。


私は柊くんの悪戯を心配した。


なんとしても柊くんが来る前に起きよう。


それに、
せっかく柊くんが一緒に居られる時間を作ってくれたんだもの。

少し早く起きておしゃべりでもしよう。

コーヒーでも入れて一緒に飲もうかな。


私だって、柊くんと一緒の時間は嬉しいんだから…


考えているうちに、私は睡魔の誘惑に負け深い眠りに就いた。



---私は分かっていなかったんだ。

柊くんがどれほどの想いで私との夜勤に臨んだのか。


たった3日の会えない時間が、どれほど柊くんの胸を焦がしていたのか。



だから、うっかり深い眠りに就いた私は気付かなかったの。



私が寝ている間に、柊くんがあんな事をしたコトに-----



< 125 / 324 >

この作品をシェア

pagetop