ふたつの背中を抱きしめた


「だったら、尚更スゴいと思う!」


すかさずそう反論してしまった私に、綜司さんは目を丸くした。


「好きじゃないのに頑張るなんて誰にでも出来るコトじゃないよ、
それってうんと大変なコトだよ?

綜司さんはやっぱりスゴい。スゴく、頑張ってる人だよ。」


拳を握り締めて力説してしまった私に綜司さんは少しポカンとしてから、フッと噴き出し

「…そんな褒められ方、初めてしたよ。」

とクスクス可笑しそうに笑った。

「ご…ごめんなさい、なんか変なコト言っちゃって。

私、ズレてるってよく友達からも言われて…」

私は急に恥ずかしくなって下を向いた。


やだ、もう。バカみたい。
私ってばいっつもこうなんだ。
すぐムキになっちゃうし
どうも、周りとは視点がズレてるみたいでよくツッコまれる。

よりによって綜司さんにまでこんなコト言っちゃうなんて。

失礼だったかな。
怒ってるかな。


けれど、
モヤモヤする私と裏腹に
その後の綜司さんはずっと機嫌が良さそうだった。

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