ふたつの背中を抱きしめた



「39.7度...。送っていく、病院へ行こう真陽。」


朝、ベッドの中で真っ赤な顔をしてる私の熱を測って綜司さんが言った。



私は突然の高熱で全然働かない頭で必死に考えながら首を横に振る。


「…綜司さん、会社、遅刻しちゃうよ…私は、大丈夫だから…ちゃんとタクシーで、病院行くから…平気だから…」


身体中が痛くて寒くて、息も絶え絶えになりながら訴えた私に

綜司さんは少し厳しい顔をして言った。


「平気な訳無いだろう?真陽、こんな時に頼らないで婚約者の意味あるの?」

「綜司さん…」

「僕ら家族になるんだろう?変な遠慮は無しだよ、真陽。」



そう言って綜司さんは私の身体を起こし身支度をさせると、車を駐車場から出しに行った。

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