ふたつの背中を抱きしめた



翌日、綜司さんが昨夜言った通り私は車で園まで送ってもらった。


今日の勤務は昼から夜にかけての13時出勤。

そして予定では…柊くんが午前中だけボランティアに来ているはずだった。

私と柊くんは相変わらず勤務時間がかち合わないように配慮されている。

だから今日もお互い顔を会わすどころかすれ違うことすら無いはずだった。


けれど。

今は預かってる子供の数が満員で、それも小さい子が多くて。

しかもこの日は土曜日だったから学校がお休みの子供達の昼食準備に時間がかかったみたいで。

だから、忙しくてどうしても手の離せない柊くんが、帰りが遅くなってしまった柊くんが、まだ園に居ただなんて。

私は知る由もなかった。


ましてや、園門前に車を止めた綜司さんが私を心配して玄関まで付き添ってくれていたのを

柊くんに見られていたなんて。


私は気付いてすらいなかった。


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