ふたつの背中を抱きしめた
急加速していく心音が全身に響いて煩い。
嫌な汗がじわりと背中を伝う。
乱れそうになる呼吸を必死で整える。
「やだ、リエさん。なに…言ってるの?」
声が途切れ途切れになっていく。
発作が起こりそうな身体を必至で手で抱えるけれど、その掌に痺れを感じ初めて私は慌ててカバンからペーパーバッグを取り出した。
「…っ、…ハァッ…ハァッ」
普通じゃない私の様子を見て、流石にリエさんが驚いて駆け寄る。
「ちょっ…何!?どうしたの!?」
うずくまって紙袋を口に当てる私の背中を撫でながらリエさんが叫ぶ。
「大丈夫!?具合悪いの!?ちょっと、誰か!」
私は片手をあげて、助けを呼ぶリエさんを制止した。
「…ちが…う…大丈夫……すぐおさまる…
ポタポタと床に額から汗を落としながら、私は必至で呼吸を整えた。
視界の端で、リエさんの声に集まってきたスタッフと子供達の姿が見えた。